イメージ

尿失禁

尿失禁の大部分は、尿を貯める機能に、何らかの異常が起こったときに起こってきます。例えば、膀胱の膨らみが悪い場合は、尿が溜まってくると次第に膀胱内圧が上昇し、低圧を維持できません。尿道の圧より高くなれば、当然失禁となります。低圧で維持していても、急に膀胱の筋肉が収縮し、尿道圧より高くなれば、突然の尿失禁となります。一方、膀胱の低圧維持は正常でも、尿道を締め付ける圧力が低下すれば、失禁が起きます。
 このように、尿失禁は様々な原因によって発症します。さらに、尿のたまりを感じる神経や、尿意の異常が、大きく影響しますので、より複雑になります。
 一般的に、尿失禁の分類は、下記の、症候による分類をよく用いますが、病態やメカニズムによる分類(多岐にわたる)も、治療の上では重要となります。

尿失禁

症 状

腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ、大笑い、重いものを持つなど、腹圧上昇にて起こる尿失禁
切迫性尿失禁:突然の激しい尿意(尿意切迫感)の直後、あるいは同時に起こる尿失禁
混合性尿失禁:腹圧性と切迫性の両方が混在するタイプ
機能性尿失禁:尿路の働きに問題はないが、認知症、高齢や四肢の麻痺などで、トイレへの移動や排尿までに時間がかかり間に合わない
溢流性尿失禁:排尿できずに膀胱に溜まりすぎて溢れてしまう

尿失禁の症状
最近立ち上がるときに尿がもれてしまった。
おしっこにトイレに向かう途中に我慢しきれず尿がもれてしまった。
動作に関係なく尿がもれてしまう。
尿が出しづらくなりおなかが張って尿が出てしまう

診療内容

どのようなタイプの尿失禁か、問診をおこない分類していきます。排尿の状態をチェックするため、尿の勢いの検査と残尿の検査、超音波検査を行います。腹圧性尿失禁を疑う場合パッドテストという検査を行います。膀胱の形態を見るために、膀胱造影を行う場合もあります。

  1. 受診の手順1

    問診をおこない上記のどのタイプの尿失禁か検討します。

  2. 受診の手順2

    尿検査で細菌感染、出血がないかを調べます。

  3. 受診の手順3

    溢流性尿失禁の場合、膀胱内に尿が充満していることがありますので、超音波検査で膀胱、腎臓に負担がかかっていないかを調べます。尿の勢い検査。

  4. 受診の手順4

    腹圧性尿失禁の場合水分を摂取した後、陰部にパッドをあてて、階段を上がったり咳をしてもらったり、様々な腹圧がかかる動作をしてもらいます。膀胱の形態と尿道の角度をチェックするため、膀胱内に造影剤と、細いチェーンを入れてレントゲンを撮影します。

  5. 受診の手順5

    治療は腹圧性尿失禁の場合、骨盤底筋体操をまず行います。それでも改善が認められないようであれば、尿道を締めるお薬を内服します。切迫性尿失禁の場合は抗コリン薬、β3受容体刺激薬などのお薬を処方します。溢流性尿失禁の場合は排尿がスムーズに行えるように排尿障害の改善させるお薬を処方します。機能性尿失禁の場合はご家族の協力のもと、屋内の環境整備、膀胱訓練などの生活指導を行います。

ページの先頭へ